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慶安御触書(実物)

天保5(1834)年の写し

DSC01593.JPG (158254 バイト)

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寸  法   縦26.7×横17.8cm  全15丁

入手方法   東京・小泉吉永さんより購入。10000円。

解  説   全32箇条からなる慶安御触書については歴史教科書には必ず掲載されているほどメジャーな資料である。慶安2(1649)年2月に幕府が諸国の百姓に出されたものとされ、その厳しい百姓規制の典型的な法度として紹介されてきた。しかし今日では慶安年間に出されたという確証はなく、ましてや幕府が実際に出したかどうかも否定的である。慶安御触書については山本英二さんの諸研究があり、「慶安御触書成立試論」(日本エディタースクール)、「慶安の触書は出されたか」(山川出版)によれば、慶安御触書は17世紀後半に甲州から信州にかけて流布していた地域的な教諭書「百姓身持之事」を源流にして、元禄10(1697)年に甲府徳川藩法「百姓身持之覚書」として改訂されたもので、文政13(1830)年に美濃岩村藩が出版した木版本から「慶安御触書」と命名されたものであることが明らかにされている。授業では文面通りの厳しさを教えるのではなく、「茶を飲むな」「木綿の着物を着ろ」の裏返しとして実際の百姓は茶や酒を飲んでいたのであり、木綿以外の着物も着ていた事実を教えたい。        

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